私も歳のせいか、なんだか日記が書きたくなった。ついでに挿絵でも描いてみようか。人間というのはある日突然、普段まったく習慣にないことをいきなり習慣にしてみようと思いたつことがある生き物である。もちろん、私も例外ではない。
失礼、私はエディー。チャコールプリズムの監視役のバイトで飯を食っている。人生初のアルバイトを始めたばかり。中年だ。
2週間前、ある日突然私は70歳を超えるムキムキの父親に首根っこ掴まれ、「わしゃ人間のペットなんぞ飼っとらんわ!」と罵られ、家を追い出された。父親の気持ちもわかる。いかんせん、私は47歳であるにもかかわらず独り身、それ以前に無職、そして、ニートだった。
いつまでも親の脛をかじり続けるのは申し訳ないなと思いつつ、なんだかんだで髄までしゃぶった自覚はある。流石に温厚だった父親も我慢の限度がきたのだろう。塵も積もれば山となる。ある日、チョモランマを彷彿とさせる我が父の上腕二頭筋が振りかざされた。それを見た時、まさか家の中に山があるとは思わなかったよね。リビングでゲームをしていた私は、雪崩に巻き込まれた登山者の如く、一気に玄関の外まで押し出された。
こりゃ参ったということで、仕事中に出来るだけダラダラできて、スマホで漫画読めて、それでいてそれなりに高収入のバイトを探した。世の中広いから、好条件の仕事くらいすぐ見つかるだろうと思って探したら、案の定この仕事が見つかった。時給1600円。そこそこいいでしょ。
その仕事がチャコールプリズムの探索。あまり聴き馴染みないだろう。チャコールプリズムの探索ってなんだ。そもそもチャコールプリズムってなんだ。
近年、全世界で失踪者が増えてきている。原因は様々あるだろうが、その中で最も多いのが「チャコールプリズムに巻き込まれた」からじゃないかと私は思っている。なぜなら、一度チャコールプリズムを通過してしまえば、分解された世界に留まるだけで元の世界に帰る術がないと言われているから。バイトリーダーが言ってた。チャコプリ怖すぎ。
0コメント